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留学生インタビュー



  • 第7回 吉野舞起子さん(ニューヨーク市立大学大学院 修士課程 社会学専攻)

by Hironobu Hamada in New York, 5.16.2000


・舞起子さんは今どこで何を勉強しているのですか?

ニューヨーク市立大学(City University of New York, 以下CUNY)の修士課程で、社会学(Sociology)を専攻していて、 やっと修士論文を書き終えたところです。

・社会学というのは具体的にどういったことですか?

難しいですね。社会現象とか問題など様々な社会の側面を人の行為、関係などに注目して研究する 分野でしょうか。とても範囲が広く、アイデンティティ、コミュニケーション、 言語、セクシュアリティ、ジェンダー、教育、老い、医療、差別、権力と支配、 都市化、家族、仕事と遊び、デザイン、メディア、文化、宗教、エスニシティ、 環境、社会構想等々。 その中でも、私はアメリカに来てから特に少年犯罪に、 そして今通っている学校がハーレムにあるので人種問題にも興味を持つように なりました。

・舞起子さんはアメリカに来てどのくらいですか?

96年8月1日に来たので、約4年になります。最初の1年間は、2つ目の学士を とるために、ニューヨークのスタテン島にある CUNYのCollege of Staten Islandで 勉強しました。そこに偶然、日本の大学の先生の友人がいらしたので心強かったで す。Undergraduateのコースの中から英語や、コンピューターサイエンスなど社会学 に関係なく、ただそれまでに興味を持っていた分野を履修しました。そうしている うちに、ああ自分がもっと勉強したいのは、やっぱり少年犯罪と家族関係なのだと 段々分かってきました。それから今の大学院に入りました。本当は、Staten Island にいた時、語学学校に行きたかったのですが、父の反対であきらめました。

・父の反対?

英語を勉強することに上達はあり得るが、終わりはない。人生いつも何かしらの 区切りが大切だと。父の言い分も分からなくはないのですが。だから今、語学学校 に行きたいです。楽しいという話を友人から聞いているので(笑)。   

・舞起子さんがアメリカに留学しようと 思ったきっかけは何ですか?

大学の時にアメリカ帰りの先生のゼミを取っていて、ディスカッション、プレゼン テーションおよび批判的な勉強方法を知りました。私はそれまでそういった勉強 方法を経験したことがなかったので、アメリカで実際に勉強してみたいと思うよう になりました。その時は、家族関係や家族問題などの授業をとっていて、英才教育、 登校拒否、家族療法などのペーパーを書きました。そしてこれらのテーマをアメリカ の学生と話し合ってみたいと思うようになりました。またその分野の研究が、本当 かどうか分かりませんでしたが、アメリカの方が日本よりも進んでおり、また家族 問題に関する機関(Organization)も多いと聞き、アメリカに来たいと思うように なりました。

・なるほど、それでアメリカの大学院を選択した わけですか?

そうです。最初から日本の大学院は考えていませんでした。アメリカで勉強と 言うよりも、学生と意見交換したいという気持ちの方が強かったのです。

・それは正直ですね?

私が興味を持っているテーマについて、アメリカの学生と一緒にディスカッション を通して、彼らの意見を直接聞いてみたかったのです。もちろん日本にも勉強を しに来ているアメリカ人がいますが、私が彼らから受けた印象は、彼らのほとんど は、そこそこ経済的に、また機会に恵まれているように感じました。今までのよう な本からの勉強ではなく、実際に悩みを抱えている人達の研究をするには、私の場 合、できることなら現地で経験を通しての方が理解しやすいと思ったので、アメリカ に行ってみたかったのです。本には書かれていない状況を聞くことができたりと、 アメリカに来てみれば、彼らの住環境、生活スタイル、家族背景などを目で見る ことができると思いこんでいました。

・そうですか。実際にアメリカに来て、 そのようなアメリカ人に接してどうでしたか?やはり、想像とは全く違っていましたか? 友達などもCUNYだと、そういった人が多いと思うのですが、彼らと接してみて どうでしたか?

こちらに来てから、興味が少年非行と家族関係に絞り込まれてきましたが、本当の ことを言うと、残念ながらアメリカにいながら実際に現場にはまだ入ったことは ありません。ジャーナルや記事、そして授業中のディスカッションから多くを学 びました。現場に携わる前に学ぶべきことがまだまだあると感じたからです。ハ ーレムにある学校に通っている学生や、住んでいる学生だからといって全員が問題 を抱えているわけではありません。でも、私の周りでは、修士課程で社会学を勉強 している学生のほとんどが、日中仕事をしており、また、家族を養っています。 スーツや仕事帰りの学生が夕方からの授業に駆け込んできます。また私が3年間、 日本語のボランティアを通して接している同じ学校の学部生も、授業料と生活費を 働きながら、そして早く卒業して学位号、修士号を取って、収入を上げたり、今 よりもより良い仕事に就くために6から8コース取っている生徒が少なくありま せん。彼らを観ていると自分の甘さを痛感します。

・舞起子さんは今奨学金をもらっているのですか?

いいえ、もらっていません。CUNYは留学生に対する奨学金はないらしいです。 少なくとも私の学部はありません。CUNYは市立なので、ニューヨーク市の住民が 優先され、学費も市民と留学生では異なります。私はキャンパス内で日本語と英語 の翻訳の仕事をしています。

・それは博士課程でも同じですか?

確かなことは分かりません。Teaching Assistant(TA)ぐらいならできるかもしれま せんが、それも専攻によるのでしょう。社会学の場合は学部が小さいので、それも 難しいのではないでしょうか。 CUNY、それぞれのキャンパスの学部に、直接お問い 合わせを。

・そうですか。ところで、舞起子さんは 留学をどのように準備しましたか?

すべて自分で行いました。厳しい言い方ですが、斡旋業者に依頼することもできます が、入学手続きが自分でできないのなら、アメリカに来たとしてもおそらくやって いけないとその時思ったので、すべて自分でやってみようと思いました。日米教育 委員会に行って、カタログを見たり、そこで無料で相談にのって頂いたりして、 色々な方に助けていただきながら、学校選びから入学手続きまですべて自分で行い ました。

・TOEFLはどうしましたか?

勉強していなかったので悲惨でした(笑)。最初は留学するつもりがなかったので。

・じゃあ、どうやって点数を上げましたか? 大学院では最低550は要求されると思うのですが。

日本では520点ぐらいでした。最初は2つ目の学士をとるつもりだったので、この 点数で入ることができました。Undergraduateで勉強している途中から急に大学院 に行きたくなったので、慌てて参考書を購入したのですが、中間や宿題で忙しく 結局十分な勉強はできませんでした。でも大学でコースを取ったりしているうち に上達したのでしょうか。それとも、毎日英語にふれていたからかしら。そうして いるうちに一応大学院に入れるようになっていました。でも、博士課程に進むため には、今までのような甘い考えでは、きっと難しいですよね。

・留学準備で一番難しかったことは何ですか?

何でしょうねえ。特になかったかしら(笑)。しいて言えば書類集めでしょうか。 学校によって要求される書類が違い、また書式もことなるので、学校ごとに間違い なく書類を準備するのが大変でした。

・推薦状はどうしましたか?

大学の先生お2人と研究所の先生にお願いしました。英語で書いていただけたので、とても助かりました。

・ニューヨーク市立大学を選んだ理由は 何ですか?

研究所の先生から、CUNYの学校の1つはハーレムの中にあると聞き、私の興味に ピッタリだと思いました。これまた、単純に場所しか目に入っていませんでした。 その学校が社会学を得意としているかなど考えていませんでした。「地下鉄で行け るハーバード」、「ハーレムの中にあるハーバード」などと呼ばれていて、経済的 に余裕のない学生や、私立の大学で勉強するチャンスのない学生でも通える大学、 という宣伝文句にも興味を持ちました。ハーレムに住んでいる学生もいるだろうし、 彼らとクラスが一緒であれば、実際の状況なども直接聞けると思いこんでいました。

・ところで、今の生活はどんな感じですか?

ついこの間論文が終わったのでほっとしています。

・論文を書いているときはどうでしたか?

思い出したくないですね。自分の部屋、学校のオフィス、図書館のどこかにいて、 その他の場所はほとんど行っていません。

・それは大変でしたね?

そうですね。永久に続くような気がしていました。卒業論文のテーマは「現在の 日本の少年非行」と、新しいトピックに挑戦していたこともあって、書いている 最中にも、青少年による理解しがたい凶悪犯罪が立て続けに起きていました。 そのために、新しい情報や意見が相次いで発表されました。少年犯罪を研究テーマ に取り上げている私から見れば、資料が集まるのでとても助かるのですが、新たな 事件を聞く度に、大きなため息をつきながら、なぜこのような事件が起こるのだろ うと疑問が深まりました。卒論を書いているとき、自分の仮説をサポートする論文 がなかなか見つからず、苦労しました。どの分野も同じかもしれませんが、新しい 現象を追いかけていかないといけないのは大変ですね。

・おつかれさまでした。休日なんかはどうして いましたか?

休日?何ですか、それは(笑)。久々に聞きました。ほとんどなかったんですよ。

・わかります、わかります。ぼくも同じような 状況でした。

まあ、本当にたまの休日には、テニスをしたり、オペラシーズンにはオペラに 行ったりしていました。ニューヨークは無料のコンサートなど、ただで楽しめる ことがたくさんあると聞いていますが、去年の夏にセントラルパークのニューヨ ークフィル・コンサートに行ったぐらいでしょうか。皆さんは賢く遊んで下さい。

・将来の目標は何ですか?

研究職に就きたいと思っています。でも、現場からは離れず、青少年犯罪や家族 関係で悩んでいる人たちと同じ視線に立って、調査を通して原因を考えたり、 そこから改善索が見つかればと思っています。

・それは、今後益々重要になってくる テーマですね。日本でも最近は少年による凶悪犯罪が増えているので。それでは、最後にこれから、 留学しようと思っている人に何かアドバイスをお願いします。

手続きの時など、たらいまわしにされるようなことが多いかもしれませんが、 それでもあきらめないで下さい。時には自分が間違っていることもありますが、 相手が間違っている場合も多々あります。

また、アメリカに来て、英語力の上達のためにか、他の日本人と付き合わないよう にする人がいます。英語も重用ですが、やっぱり、母国語で話すことによって心が 落ち着いたり、正確な情報を得るためにも大切だと思われるので、日本にいる時 以上にたくさんお友達を作って下さい。また、逆に日本人としか付き合わない人も いますが、せっかく色々な人と出会うチャンスを逃しているのではないでしょうか。 私にとっては色々な人と話すのがとても好きで、いろいろな思い出が残っています。 国籍、人種を問わず、いろいろな人と話してみてください。それに、PC関係で問題 が生じた時も、友達がいれば、簡単に解決することも多いですよ(どなたかには、 大変、感謝しております)。また、さっきの友人づきあいと関連するのですが、 あまり思いつめて勉強ばかりせずに、友達とコンサートに行ったりして下さい。 確かに勉強しなければならない時期もありますが、自分の世界だけに閉じこもらず に外の世界を見るということも社会勉強になると思いますし、ポッと良い考えが浮か んだりします。よく学び、よく遊べですね。

最後に、私も留学するにあたって、また、アメリカで生活する上で、いろいろな方 に助けて頂いたと思います。そのお返しではありせんが、もし困っている人がいた ら、話を聞いてあげて下さい。私も心がけています。今まで助けてもらった方は、 助けていただいたときの気持ちを思い起こして、助けを必要としている人を助けて あげましょう。みんなで、楽しいアメリカでの留学生活を送りませんか。



・貴重なお話どうもありがとうございました。 今後の活躍を期待しています。




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